22-09-04 控室は大盛りに
ちょいと野暮用で乗り換えしまくりみなとみらいまで。
いつもより多くの電車賃をはたき、改めて体感した。私は大勢居る中でそっと存在を消すのが得意である。
この日私は控室で一人そっと空気と化した。
バイトの朝礼前後。今日はしんどいぜ〜?という時にハイな絡みに巻き込まれぬ様に鼻で息を吸う様に居ると空気になれる。
「あれ?ツッチーいた!?」と後になれば成功である。
お互いにお互いを大切にするために時に空気になるということは重要なのである。
話を戻そう。
基本的にいつも何か制作系の方やヲタに囲まれた生活故に、もっとカジュアルな現場に立ち尽くした時に持ち前の饒舌ぶりは半減、もしくはカットされてしまう因果が存在する。
そこで行われる会話においての手札がないのだ。
控室の中央に大きなテーブルがあり、皆さんそこを囲んで喋っている。
それともう一テーブルが壁面に沿って並んでおり私はそこに座った。
私は本を読んでいたのだが、どうしても盗み聞きが働いてしまい全然集中できない。
だって、会って早々にお酒の度数の話をしている。
チャラ!!!???
大チャラ!!!???
控えめな子がその話を振られて一同騒然とする度数が発表される。
なんだこのチャラ散らかせた会話…!!これが普通なのか…??
そんな中一人の女子が「最近韓国のお酒にハマってて〜、チャミスル?チャミスル好きなんですよねえ」と言うと「あ〜、チャミスルねぇ(知ってますよトーン)」と相槌が打たれた。
絶対にそんな知らんやつ………。
知らないけど得点の欲しさに相槌打っちゃうやつ………。
中学にも高校にも大学にもそういうやつおったわ………。
※これは完全に憶測です。それ故に超絶チャミスル博士の可能性もアリ!
その後「え、みなさん彼女いるんですか?」と入って数秒でこの空間のイニシアチブを握った切込隊長の女子が言葉通りに切り出した。
それに対して流石に皆んな驚いてはいるものの、順番に答えていく。
え………、
今日って出会い系のオフ会とかだっけ………??
所狭しにはてなブロックが詰められてもう身動きがとれないよ…!私はヘッドホンをして盗み聞きを遮断した。
切込隊長の大回しぶりが怖かった。笑い終えた途端に「はい、君は!」と笑うさんま御殿システムに本物を感じて慄いたのである。
その後しばらく空いてまた控室に戻ると先ほどとは違う少人数の編成になっている。
切込隊長、3年付き合っているが遊びたい欲望をチラつかせる控え目な子、切込隊長の会話をワンマンにさせぬ良い塩梅で立ち回る裏回し男子(推し!)にその他数名のニューカマー。
そんな中、アニメの話になっていた。
皆さんどんなものに興味を示しているか単純に気になり耳をそばだてる。
隊長「私結構ゲームとかアニメも好きなんですよねえ」
新人A「僕も好きですよ」
新人Aは推定20歳!え、どんなアニメが来るんだ…!?わくわく…!!
隊長「え、どんなの見るんですか?」
新人A「僕はですね、ん〜〜」
「シュタインズゲートとかですかね」
キターーーーーーー(私)
シーーーーーン(控室)
やっぱ、そうなるぅよねぇーーーーーー(私)
やっぱ、そうなるよ。新人Aよ。
わかる。私は先ほどの度数の話の際に「んー、呑まないんで午後ティーっすかね」と控室を同じ湿度にしちゃってるよ。なんでこうなっちゃうんだろうねぇぇ。
推しの裏回し男子が何とかしてあげてた。
隊長の言うアニメは矢張り所謂のアニメであった。
いや、それでいいじゃないか。それでいいのよ。
まあね、別にマウントとか関係なく、ちょっとした寂しさはあるけどさ。でも良いじゃん。
いつか絶対に話せる時が来るさ。
控室新人Aの連ねるタイトルに私は「まじでそれ」と振り返って人差し指を向けたかった。
しかし、この控室でそんなことはできない。
そもそも私は今空気だ。
その後、それぞれ連絡先を交換し合っていた。
人はこうやって人と連絡先を交換していくんだ、と感動した。その過程でそれぞれの人生観も何故か聴こえてしまったから…。それぞれが幸であれ…隊長に控え目女子に裏回し男子に新人Aよ…。
全てが終わり夜のみなとみらいに出る。
等間隔に並ぶカップルの掟を破る位置に腰をかけて弁当を食った。
わんちゃんいないか…と横浜に住む先輩ポケモントレーナーに連絡してみるとさすがに帰還されており、弁当は閉じて家で食うことにした。
明日、その流れで先輩と久々に会う約束が生まれたのは嬉しかった。
ポケモンカードしたいなぁ〜〜。
…。
よお、3日前の自分。
結局、翌日先輩は飯を食うだけのつもりでやってくるから、ポケカはできないぜぇ〜!
そして、定食は大盛りにしとけ?
結局おかずが美味すぎて「ご飯を単品注文で良いのでできます?」と聞くとちょっと難しい空気になったぜぇ??
絶対に、大盛りにせいっ!