22-08-20 歩き読書にZの輪郭
見開いた本に数本の自分の影が重なり離れる、深夜の帰路。
パラパラと雨は降り、ページには茶色のまだらが増えていく。
私は小雨の帰路を読書しながら歩いた。
水たまりに電灯が揺れてはまた去っていく。
するとページは真っ暗に。上下左右に手首を捻り明かりを浴びさせる。
誰もいない深夜の帰路が私は好きだ。
そして、良くはないが歩き読書が大好きだ。
しかし、電灯と電灯との距離が離れると、文字は読めなくなる。
その瞬間、スッと我に帰りふと思う。
それから再び灯りが復活すると、ゼルダの伝説の祠の試練の様に手首を捻り、ページに明かりを宿して文章の世界へと没入する。
しばらくすると再び世界は真っ暗になる。
度々、電灯の麓でヤンキー坐りをし、読み進める。
よりページに小雨が打つのが見える。
再び歩き始め、身体はヘトヘト故、周りの木々のエネルギーを吸い取るヴィランの如く、胸を広げて手をうねうねしていたら視線を感じ振り向くと玄関でタバコを吸っているおじさんと目があった。
ビーーーム!!!(ドカーーーン)
気づけば家までの一本道。
本を閉じると昨晩の一部がフラッシュバックした。
自分の持つ感覚が今の時代にフィットしていないと思うから、日々チューニングはしないとなと思っている。
しかし、考えたことが無かったのだが、私は所謂Z世代であり、輪郭としてその傾向があるということが昨晩人生の先輩方と討論する中で浮き彫りになった。
だから何だという話だが。
大体のことは順送りである。
憂うよりは無理矢理でも何か発見して行きたい。
まあ、時に虚無に浸りつつも。
小雨の降る夜の涼しさだけはいつの時代も変わらないのかもしれない。