ザリガニのカップリングを詠む会
葛飾出身とのガチンコ(現実世界で)対バンがやっとできた。
コロナの始まったばかりの渦中でお互いリリースが決まり、ガチンコでは中止だったり延期になってしまう危うさがあった。
その時、あ、YOUTUBEなら確実にできる…!!それに皆んなポリゴンになって戦うなんて演出があったら最高じゃないか…!出身ならそれが作れちゃいそうだ…!!!!!と妄想は膨れ上がった。
それを出身に話してみると「いいですね、ボツになったMOTHER3のあのポリゴンの感じかあ」と。流石だぜ、まさにそれだぜ…!!と。
そして、出来上がった「YOUTUBEレコ発 MURAバんく。vs 葛飾出身」は周りの皆さんからの好評も頂け、今観ても「なんじゃいこりゃ!」と楽しめる映像が出来上がった。
あれから1年。「わんちゃか歌謡祭」という音楽番組をまた1つ公開し、やっとこさのガチンコ対バンであった。
当日はバタバタであったが、今思うと流石に感慨深い。
しかし、出身とは次の目論見を見据えているため、そう浸っている余裕はない。
ともかく、ライヴもお客さんが結構来てくれて盛況に終わって良かった。
今回はそんなライヴの翌日の日曜日の話だ。
私はバイト先の後輩に誘われ「ザリガニ釣り」へ行った。
え、ザリガニ釣り?なに、近くの川で?釣りってどのくらいのスケールで…??
え?え?とクエッションマークに苛まれてしまった貴方。
2転、3転と無駄に気を動転させてしまい申し訳ない。しかし、その気持ちは非常にわかる。
私もそうだったからである。
その2週間前ほど。
「土屋さん、ザリガニ釣り行きません?」と唐突に謎な誘いを受けた。
4、5転と気は動転したが、非常なまでにラディカルな誘いであったため思わず即答した。
「あ、行きます!」。
こうして私のザリガニ釣り行きは俄に決まったのである。
しかし、何故大の大人が揃って「ザリガニ釣り」へ行くのか。
気になったが、そんな安直に聞くほど無粋なことはできない。
ならば、側面の情報のみを聴取し、ある程度の全貌を推測しようと私はプランBに変更し進めることにした。
「え、メンバーはどんな感じですか?」。
そう後輩に聞くと、非常にワクワクする面子の名が挙げ連ねられた。
どんな文脈さえもBL展開に物を解釈できるA先輩。
深くは話したことがないが、A先輩同様の行間を自らの想像力により果てしないユニバースを生み出せるであろう雰囲気を纏うB先輩。
それから、ドライバーを託された声の通りが非常によく、ツッコミの能力に長けたC先輩。
そして、誘ってくれた後輩もA,B先輩同様、またはそれ以上の想像力を持った且つ生粋のジャニヲタであった。
私は気づいてしまった。
ザリガニのカップリングを詠む会に間違いない…!!
(カップリングとは 同人創作活動においてキャラクター同士の恋愛関係を表す語である。wikiより)
間違いない、其々に釣ったザリガニを並べ、そのザリガニまたはその背景までもの設定を考え、其々の解釈を語るという歌詠のような雅な会に。
そこに呼んでいただけたなんて、、もう、あまりに光栄でございますること。。
そして日曜、当日。
集合場所に到着し、既に面子の揃った車に便乗させてもらった。
車内では良い塩梅にでかいボリュームで曲が流れており、後部座席は非常に賑やか。
私は助手席に座りハンドルを握るC先輩に非常に賑やかですねえ!というと「もう一時間こんな感じ☆」と悟りを開かれたような声色でC先輩は言った。
これは祭りに乗車してるのかと思うほどの賑やかさだな、なんて一人そう思っていると曲が終わった途端にピタッと後部座席の声が止んだ。
そして次の曲のイントロが流れ出したその瞬間…!!
88888888!!来ました神曲!!88888!!いやあ、非常に良い!!
後部座席はE3のカンファレンス中かと思うが如く、拍手喝采。
ああ、なるほど、知らぬまにジャニヲタの後輩がA,B先輩に布教し、それで皆同じ沼にハマっていると、そういうことか!
私はポジション的にツッコミを入れたりしたが、盛り上がる気持ちは凄く分かるし、何にしても好きなことがあるってやっぱとても健康的で良いよなあなんて思った。
そして、こんな喜ばれる曲を作れる人って凄いな…と感嘆した。
ついに足立区を越え県境を超え、とある公園へ辿り着いた。
車がその公園の門を潜ろうとすると、また後部座席は大盛り上がり。
これがあの門だ!!ここを3年前に通ったってこと!!やっば!!×2倍速
なーーーーーーるほど。ピンと来ました。
ははああん、そういうことでしたか。はいはいはい。
これはカップリングを詠む会ではない。
私はジャニヲタの聖地巡礼に同行しているんだ…..!!!!!
駐車して車内から降りた時にドアを閉め「聖地巡礼?」と後輩の方に指差すと、ははーんと言わんばかりの表情で「そうです!!」と快活な返しを頂いた。
それから釣りの予約の時間まで「予習しましょう」と、当時のロケをまた車内のブルートュースに繋げみんなでその様子を実況しながら見守り、ついにその時が来た。
それからはひたすらにザリガニ釣りをしたのみで割愛。
私は主と言えるのではレベルの巨大ザリガニが釣れて大満足であった。
釣りが終わり、私が飲み放題というシステムを忌み嫌っていることを皆さん知ってくれているため(ありがとう!)私はザリガニ釣りを終え離脱した。
別れ際にまたスイーツ食べ放題行こうね〜!とA先輩が言ってくれた。その時は是非「詠む会」を開催したいと思う。
それからいつもフライヤーなどのデザイン周りを一緒に作ってくれる小島えもと合流し展示を観に行ったりした。
気づけば私はいつもヲタクに支えられている。
中学、高校生の頃も。それは直接的な関わりだけではなく音楽、アニメ、漫画、映画、ラジオからも。
退屈な日常から抜け出すヒントや、その状況すら面白いものと捉えられるポジティブではなく諦念による発想の転換。
みんな何となく違うけど、同じような孤独というか「一人」を持っている。
何より、楽しみたいという想像力こそが尊い。
そして皆んな行動する動機の主語が基本的に「自分」にある。その動機が何らかの形で重なれば共に行動し、無理強いもしない。
だからこそ、人其々の息のしやすさを想像できる優しさがあるような気がする。
ヲタクの概念は今もなお微妙に変わっていきつつも、この遺伝子とそれによる繋がりは大切にしていきたい。
しかし、私の釣った巨大ザリガニを見た散歩中のおばあちゃんが「あら〜でっかいエビだわねえ」「あっらま〜、これはでかいエビだわあ」と言っていた光景は凄く良かった...。
スイパラお誘いしてみれば良かったなあ。往年の歌詠が聴ける…!!なんてね。