こしあん日記

MURAバんく。の土屋のぐるぐるとした日記である。

ポケカ修行

昼下がり、人の賑わう電気街口にて人を待っていた。秋葉原の賑わいは其々が其々に好きなモノやコトに対照が向いている感じがして私はとても好きだ。
そんな人混みに耳を立てていると、改札側から「おつ〜」と脊髄で認識できる聴き馴染みのある独特な声がしてスマホから目を上げる。
細身で長身な先輩が軽く手を上げ立っていて、私も乙様ですと軽く手を上げた。

 

ツアーがひと段落して、今日は待ちに待った念願の「ポケモンカード修行」の日なのである。そう、彼は私の身の回りでも最も強いと言われるポケモントレーナーであり、私の”先輩トレーナー“なのである。何を隠そう、この私も数多いるポケモントレーナーの一人なのだ。
しかし、ゲームはずっとプレイしているのだがカードには去年まで触れたことが無く、ポケモンカード(以下ポケカ)においては”新人トレーナー”なのである。
(年末に詰んだゲームのクリア祭りを試みるも、パスタの茹で汁がモニターにかかって壊れてしまったことより、私はポケカの沼へとぬかるんで行った)
そんな私にご指導を下さる先輩トレーナーと大通りの方へ出た。

 

無料プレイスペースを目指し、雑居ビルの様な細い階段を上がる。すると、カードショップ特有のかほりが近づいてくる。このかほりがすると毎度の如く中学の頃「ぬらりひょんの孫」のカードを集めるためにカードショップに通っていた記憶を思い出す。あの店長は今も元気だろうか。

 

スペースに着くとひとまず1プレイして、その後デッキを見てもらい改善点を教わった。
「もっと確実性を高めた方がいいすか?」と聞くと「その言葉を使うにはまだ早い」と先輩は言った。自分そういうところあるよな…と胸中で反芻しながらその後も何周かプレイした。

 

私は基本的に脊髄反射発進からの流れを作るゲームが得意だ。主にスプラトューン2。
スプラは数分の中での状況判断(見方の動き、有利性、相手の穴)を見定め、ゴールをイメージしながら動体視力で進めていくイメージがある。
しかし、時間の長く設けられた慎重性を必要とするAPEXの様なゲームは慎重になり過ぎるor突っ込み過ぎて全然上手くいかない。苦手なのだ。

 

これは己の人間性を鑑みると克服するべしだなと考え、せめてプラチナ(と言われるランク)まではいきたいという思いプレイ(辛さと…)している。
そんな中、ポケカはそれとはまた違った自分の足りなさを埋めてくれる(自覚させてくれる)予感がした。
ポケカは、振られた賽の中でどう立ち回るかがポイントなのだ。置かれた”運“を如何に自分なりに発揮できるのかが大事。

 

私は、必要以上に拘りすぎるきらいがある。長くなってしまうから今回はポケモン(ゲーム)に限ると、ストーリーはシナリオに更にもう一枚自分の中でストーリーを構築しながらじゃないと進めたくない(出会いや進化のタイミング、キャラの関係性等)。それにキュンと来るポケモンは基本グッズ化されず、ゲーム上でもなかなか優遇されない。(涙!!)
対戦も当時自分が好きなポケモンでパーティを組んだのだが、環境(その時に強い)ポケモンには勝てず、やめてしまった。
自分の美学とポリシーが、全然通用しなかったのだ。

 

その後発売されたスプラでは「壊れたコントローラー(プロコンは使わずジョイコン)」「ギア(装備)は完全趣味全開」「非・環境ブキ」という、もうアザになるくらいの背負えるだけの中二病を背負って「X帯」と言われるところまで行けた。
大学〜自粛中と時間のある中だからこそ達成できたということもあるが、絶妙にゲーム性と自分の個がマッチしたのだろう。

 

どんな形でも「行くとこまで行ける!」という事実は当事者として自分に証明できた。
だから次は破壊的な中二病は一回置いて、ちゃんと戦えるデッキを作る。その心持ちで戦う前提で、ポケカに手を出すことにした。
愛着はきっとその戦った共に歴史に生まれるだろうと、ポケモンを考えながら自分の戦い方を模索することにした。(美学とポリシーを無理やり一寸緩めた)

 

最初の手札に毎ターン1回のドロー。その与えられた”運“の中で、手札の回転数を上げ、コンボへと繋げて場の有利対面を作っていく。
ある程度戦えるデッキを作るも、先輩には全然歯が立たなかった。先輩トレーナーの使う環境デッキにも先輩の”人”が写っていた。

丁寧さを知ることが実力になる。去年のとあるトークイベントで聞いた一言がずっと残っている。
私は先輩トレーナーに、丁寧にコテンパンにされた。

 

ツアーが終わり、この先の色んなことを皆んなで進めている。
やっぱり心踊るおもしろいモノを作りたい。
何故か、みんなでいるのに一人の居心地もあって、でも、なんだか人と共鳴し合っている様な空間。そのために必要な感覚をちゃんとイメージできるようになりたい。

 

終わりがけに「ほらっ」とぴかぴかに光るカードが一枚差し出された。
「これ入れるだけでデッキが回る様になるよ」。そう言って先輩トレーナーは私にそのカードをくれた。絶対強くなってやる…!

新たに輝く一枚の入ったデッキにいてもたってもいられなくなり、帰宅後にもう一人の先輩トレーナーとリモートで戦った。
すると……

 

1勝1敗…!!!
ついに1勝取れたのだ。輝くあの一枚のおかげでデッキが回る回る。
環境デッキとまでは行かないが、ちゃんと戦えるデッキの回転数に震えた。
そして、自分のイメージしていたやりたい戦い方で勝つことができた。

 

え…、じゃあなんだ?ということは…!?
私自身も当時の環境に沿った「環境人間」に傾倒した学生生活を過ごしていたら、鬼の様に華やかな学園生活を送っていたのだろうか…!?
……いや、ない。

 

綺麗な「反語」を喰らってしまった。そういう話ではないのだ。
ゲームで得た感覚を持って、モノづくりの塩梅を考える日々を送っている。
ここは、ちゃんと実力を高めてプレイする星だ。