昼夜〇転
部屋に明かりが消えてもう1ヶ月ほどになる。
消えたとは大袈裟か。
2畳のロフトから覗くようにしてiPhoneの懐中電灯の明かりが真っ暗な5畳半の中心、私の作業する段ボール机だけを照らしている。
引っ越した当初からそのまま使っている段ボール机も、今や老舗のどて煮屋のカウンターの様に傾斜状になっている。
ご安心を、別に滞納した挙句この状態に陥っているわけではない。部屋中に電気はジバジバと回っている。
メンドクサイのだ。豆電球を買うのが兎にも角にも、兎に角、メンドクサイのだ。
そして何故か腹が立つのだ。
またどうせ消耗する物に翳る財布を叩かねばならんのか…と。
などと言い、外に出たらその日には消費してしまう菓子を買う単なる阿保なのだが。
私は偏頭痛故に部屋の電気が嫌い。すぐやられてしまう。
そんな時に石神井公園付近の古本屋でイイ感じのスタンドライトを発掘し、以降ずっとソイツに部屋の温厚さは守られてきた。
とは言え、その説明なしに人を招くことはあまりにも出来ぬ暗さである。
私はその部屋でdアニメストアを開き、一人映る世界に揺蕩う生活である。
話は大きく変わるが、ゲームをほとんどしなくなって月の電気代が大幅に安くなった。
どんなけやっていたんだ!?と思うが、それはそれで少し寂しかった。
PS4では3作品詰んでおり、あつ森のアプデも入り、64のタイトルもプレイできるこの状況に、来週ポケモンDPのリメイクが発売される。Apexもプラチナに一度は行ってみたい。
それなのに・・・。
明らかにゲーム体力が落ちている。あれもやんなきゃ、これもやんなきゃで起動させることに罪悪感を生んでしまう。
その結果アニメを観ているのだが、“ながら“で作業もしてんじゃん?と自分に言い聞かせているのだろう。
もしくはYOUTUBEで中村悠一とマフィア梶田、もしくは杉田智和のチャンネルばかり観てしまう。
無性に帰りたくなるのだ。安心するという気持ちなのだろうか。私は一時期それで10年分のオードリーのANNを3年程で聴破した。大学生の頃、私はハイラルを駆けまわり永遠とラジオを聴いていた。
電波に帰りたくなるんだよなあ。
最近オードリーのANNで春日が言っていた。
「夏テニスして、冬スノーボード??くだらねええ!!恥ずかしいやつらだぜ!!」と、あの時あの頃をちゃんと謳歌すれば良かったのになんでできなかったんかね、といった会話をされていた。
ほんとなんでできなかったんかね!?!?
そう思いながら私はケッタマシンを漕ぎながら爆笑していた。
大学になって髪を染めるのも、サークルに入るのも、特に理由の無い動機から変化を求めるということが私にはわからなかった。
大学に入ったから茶髪にした、楽しそうだから○○サークルに入った。
単純に「楽しそう!→楽しい!」ってことが理由であり、それが素晴らしいことでもあるんだよな、と今は想像できても当時は「F〇CK!!」と真っすぐに思っていた…。
そういうのって何に対する逆張りだったんだろうか、と最近ぼ~っとした時にふと考えた。
その結果至った答えの一つとしては「自分はそっち側で輝ける星には生れなかったんだな」という自覚が高校の真ん中から無意識の内に芽生えていた、ということだ。
自分はそっちで全うできないとわかっていても、あっちの世界は眩い。
そして、その眩さはいつまで続くかな?ふはははははは、と思っていたのも事実だ。
恥ずかしくいたくない、という自意識を持ち続け、結果恥ずかしい状態で居続けると言う、乙!といった現状。
実際去年、美容師との伝達の誤差により髪を上げるショートな髪型になり、周りから明るくなった!と言われ、外的変化の恩恵を受けた時考えた。
ああ、当時髪を染めたりどうにかしてたら何か変わったかな。
変わった筈がない。安易な一枚目ばっか捲る恥ずかしいヤロウがヨ!!
ここ数日私の身体の隊長は悪漢となり、頗るしんどい日々を過ごした。
念のためPCR検査を受けたが、結果は陰性。
唾液で結果が出るものだと思い、屋外に設置された特設キットの椅子に深々と腰かけ待っていたら、ゴムのチューブに長い綿棒を手にした医者が来て蹴っ飛ばし逃げようかと思った。
血液を採取され、鼻孔をグルングルンと…。しかもインフルエンザ用とコロナ用と、2度も…。
検査後「ティッシュいりますか?」と聞かれ「いります!!」と答えた時、声が泣いていて、自分の泣いた声を久方ぶりに聞いた。だからなんだって話だが、陰性でひとまず安心した。
白血球の数が多くなっていたらしく、原因はバイ菌による風邪だったそうだ。
おれの中の白血球さんが頑張ってくれたんだ…!!!と帰宅後改めて「はたらく細胞」を観た。
本当は2日間も休んでいる場合では無かった。昼も夜もないまま、ゾンビの様に声を挙げながら寝た。(その状態でミッドサマーを観たのは間違いだった)
新年を迎えるまでに控えている試練の連続はそう甘くないぞ…!
そう自分に言い聞かせ、明日のベローチェ行きは確定となった。
そのついでに豆電球、買うか…。